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第10回矢追インパクト療法学会報告

 上記学会が「新たな展望、矢追インパクト療法(YIT)」をテーマに、平成14年4月13、14日東京西新宿の厚生年金基金センター・セブンシティーで開催されました。今回は矢追インパクト療法学会(A.YIT)発足10年目という節目の大会で、矢追先生のお力で大変素晴らしいゲストを迎えての講演を拝聴することもできて、大いに盛り上がりました。

【特別講演その1】

 4月13日の夜、懇親会では医師探検家の関野吉晴先生の特別講演として、「私の中の旅--グレートジャーニー」がありました。400万年前にアフリカに生まれた人類が、ユーラシア大陸やアメリカ大陸を経て、南米最南端にまで広がったということから、その経路を逆に辿って歩く旅を1993年12月に始め、本年2月10日に東アフリカに到り全行程5万キロを踏破されました。その体験から、日本で普通に暮らしていると分からない大切なことを教えていただくことができました。

 関野先生によれば、『それぞれの人が自分の「楽園」を持っている。自然と一体になって暮らしている人たちが、より「便利」で、「快適」で、「モノがたくさんある」町にやってくると、自分の土地では精悍だった彼らが、急に生彩を欠き、少しおどおどしているように見える。彼らにとっては、やはり自分の土地が楽園なのだ。「楽園」に住みたいと望むならば、自分の住んでいる場所を、「楽園」に変えていかなければならない。

 誰にもあてはまる、普遍的な「楽園」はないとしても、「楽園」に必要な、普遍的な条件というものはあります。「必要最低限の食べ物」「汚れていない水、空気、土地」「家族と、共に生きる仲間たち」「どのように生きるかを人に強制されない権利」など、本来は当たり前のことが、人はそれらを失ったときに、初めて気がつくのでしょう。』とのことでした。

   
関野先生 関野先生                      

【一般演題】

 4月14日の一般演題は、夏目明良先生(愛知県)がYITによる反応を適応、進化に関連づけて考察されました。また、空中植物を例にとり、YITはエネルギーから物質への変換の機能を調整し、高める働きをするのではないかと述べられました。次に小島孝彦先生(愛知県)は平成13年6月からの約30名の患者さんに行ったYITについて、約8割で著効を含む効果を認めたと発表されました。私は在宅医療でYITが大いに役立ちうると発表しました。山脇昂先生(東京)はYITの注射の後に曲がった腰や背中が伸びる例を3例示して、YITにより「元にもどす」という効果が現れ、それは若返りの現象だとのべられました。木村茂先生(京都)は変形性股関節症と脊椎管狭窄症の痛みがYITのツボ注射的治療法で有効だった例を示されました。次いで千葉友幸先生(東京)はアレルギー性鼻炎に対するYIT用の抗原をいろいろと検討された結果の成績を示されました。

 矢追博美先生(岩手)は職業・スポーツ外傷等の急性期疼痛に対するYITの速効性を4症例で示されました。また、皮膚・毛髪・爪に対するYITの効果が、血行改善、炎症・アレルギーを改善することによると示唆されました。さらに矢追先生はYIT開発に到る経緯をのべられ、種々の抗原物質が精製度と希釈度を変えることでインパクタンとなりうることを示されました。また、アストレメジンの局所注射により頑固なイボが消滅した2例を紹介され、新たなインパクタンの選択により、YITがさらに飛躍的発展を遂げる可能性を示されました。

 竹田武彦先生(兵庫県)はYITの良好な成績を示され、ウサギアレルギーの喘息の男性男性がYITで軽快した例を示されました。松葉光史先生(兵庫県)は、ベーチェット病に有効、PSSについて一部有効の例を示されました。また膿疱性乾癬にもYITが有効と思われる例を紹介しました。

 
【特別講演その2】

 解剖学者の養老孟司先生の特別講演では、人間は遺伝子と言葉という2つの情報系 の上で生きている。それらをつくり出す細胞も脳も共に絶えず変化するものだが、意識の働きで固定したものと捉えることが多いために、種々の弊害が生じると説かれました。人間は学び続けることで新しく生まれ変わるのだが、「自分は変わらない」と思うことで、学んでも知識が増えるだけということになり、退屈、生き甲斐の喪失ということを生じる人もいると説かれました。

養老先生養老先生

【特別講演その3】

 次いで特別演題は、ロマリンダクリニック(福島県)の富永國比古先生で、台湾の薬草を混合した健康食品”リプロキュア”が子宮内膜症に鎮痛効果を示したことを、臨床成績や動物実験の結果も含めて発表されました。

富永先生画富永先生

【特別講演その4】

 最後に矢追博美先生が、台湾に新たにできる「全人的医療の国際センター」に矢追インパクト療法部門が設置されることになったので、今後のYITの研究・普及に大いに弾みがつくだろうと発表されました。

【感想】会員の皆さんの熱心な発表と討議に感激しました。台湾にできる全人的医療の国際センターによって、矢追インパクト療法は飛躍的発展が期待できます。

 グレート・ジャーニーについて:人類の起源に関する学会の定説には異論もあります。私は、西洋中心主義の学会による人類起源の説が日本人にもそのまま当てはまるのか疑問に思っていますが、関野先生のグレート・ジャーニーは素晴らしいです。自分の手と足だけを使った命がけの旅、他の人なら原住民やゲリラに殺されてしまうような所も、関野先生のお人柄でしょう、多くの人と友達になりながら目的を達成されました。また人間は本当に世界中に生活しているのだな、というのが実感として分かりました。日本で普通の生活をしていると、なかなか理解できない生活と考え方をしている様々な人達がいるのですね。そういった多様な人間が、それぞれの伝統、生活様式を尊重しながら、お互いに助け合いながら平和に暮らしていける世の中が理想だと思います。。素晴らしい伝統の上に生きる日本人は、その良い点を世界に向けてどんどん発信し、世界に貢献していくことが大事だと思います。

 養老先生の講演に関連して:人間の特徴は、本能を少なくし、学び行動して自分を変えていくことができることです。矢追インパクト療法はまさに自分を変えていく方法のひとつです。病気・体質などのためにやる気がおきない、集中できない、疲れやすい、といった不調のある人も、YITを続けていくことで次第に元気に、前向きになってくるのです。

第9回矢追インパクト療法学会トピックス

第9回矢追インパクト療法学会が平成13年4月14、15日に兵庫県神戸市のグリーンヒルホテル神戸で開催され、全国からYITに関心を持つ医療関係者が集まり、活発な発表が成されました。

14日の懇親会では、矢追先生の社会文化功労賞と菊華勲章が披露されました。翌15日の発表を以下に記します。

 山脇昂先生(東京都)は、YITと減感作療法との差異について述べられ、YITが糖尿病に有効である例を示し、中性脂肪(TG)を燃焼させる効果によるものと考察されました。

 竹田武彦先生(兵庫県)は、自然治癒力を高めるYITの効果について詳しく近況報告をされ、また「90%以上の患者が風邪をひかなくなる」とか、疼痛や炎症の改善効果が注射部位により異なることなどについて報告されました。

 矢追博美先生(東京都)は、新たな”インパクタン”(YIT注射用の抗原物質)として、スルピリンが重度鼻閉の慢性鼻炎に有望との報告をされました。またYITの効果判定の指標として、末梢血中の好酸球数、LDH値及びDHEA-S値が、IgERIST値よりも有用であるとも述べられました。

 松葉光史先生(兵庫県)は、YITによりベーチェット病や全身性強皮症(PSS)の患者が、症状や検査所見で改善が見られたことを報告されました。さらに「Th1-Th2理論」から、「YITは細胞性免疫と液性免疫のバランスを回復する」と言う点で従来の減感作療法と異なり、適応となる疾患もより幅広くなると述べられました。

 安田英己先生(岡山県)は、先生御自身のYIT実施に至る経過と、現在の実施状況、更に今後の課題等について報告されました。

 西田正文先生(福岡県)は、妊娠前からYITを施行し続けてきた妊婦が、3900Kgもの過熟児を、約1時間半の経過で安産し得た1例を報告、妊娠におけるYITについて考察されました千葉友幸先生(東京都)は、YITだけでは改善しなかった成人型重症アトピー性皮膚炎の2例について、婦人科、歯科及び食事療法などの併用で改善に導いたことを報告され、今後のYITの治療効果の改善に役立てたいとのことでした。

 私(伊利元、埼玉県)は、”自然医学”から見たYITの、「有害物質の排泄に役立つ理論」等について発表しました。

 特別講演として矢追博美先生は、「IgEの役割に関する疑問:YITと多項目IgE陽性患者(MIEPPs)の臨床研究によってもたらされたもの」と題し、アレルギーの病状とは無関係に、種々のアレルゲンに対するIgERAST値が陽性を示す人達があり、そのIgERAST値のパターンは6年以上経過を追ってみても殆ど不変であり、血液型や指紋等と同様に「ヒトゲノムの一表現型であると考えられる」と述べられました。

 また、広島国際大学人間環境学部感性情報学科教授の吉田倫幸先生が、「”ここちよさ”の簡便な計測法」と題した特別講演をされ、先生の17年の研究成果に基づき、左右前頭葉の脳波活動のリズムパターンを解析して、興奮-沈静と快適-不快の座標軸に当てはめて、被験者の「心の状態」をリアルタイムで表示する器機について講演されました。デモンストレーションでは矢追先生が被験者となり、YITの注射により変化した先生の心の状態が示されました。

 最後に矢追先生が、「YITにおける”人間富国論(生命富活 論)”、体の”自己資金”DHEA-Sを、YITでいかに増やすか」についてまとめられました。

 また紙上発表では、夏目明良先生(愛知県)がYITの治療範囲等を、岩山繁木先生(北海道)が「YITが不眠症に有効だった症例」を 報告されました。また、グルジア共和国のイリナ・ミミノシュビリ先生からは、「2000年1年間の、同国での気管支喘息に対するYITの良好な成績」が報告されました。台湾の張百欽先生も、「YIT開始後5年間の良好な成績」 を発表されました。

来年は第10回ということで矢追先生が担当され、東京(セブンシティ)で、平成14年4月13、14日に開催される予定です。YITに関心のある皆さんのご参加をお待ちております。

第8回矢追インパクト療法学会トピックス

 第8回矢追インパクト療法学会が山脇昂先生の担当で4月15、16日と東京代々木の住友化学工業(株)参宮寮で開催され、全国から40名ほどの会員が集まりました。
 以下に印象に残った発表を記します。

 まず山脇昂先生(東京都)は、日本の医療制度との関連で、YITは開業医がその独創性を発揮する素晴らしい手段だと述べられ、その効果をより周知させるために大規模施設での二重盲験比較試験が必要だと述べられました。

 千葉友幸先生(東京都)はアレルギー性鼻炎に対するYITの効果と症状・検査値との関連について述べられ、自覚症状の改善度は70%で、著効例について見るとIgERISTやハウスダスト・スギに対する特異IgERASTとの関連は乏しいことを示されました。

 また、心身の異常をスクリーニングするテスト(CMI)との相関から、心理面のケアの重要性を示唆されました。

 桑野聡先生(福岡県)は乳幼児のアレルギー疾患でもYITが良好な効果を示し、特に乳児の鼻炎による頑固な鼻汁が1回の注射で治癒した3例を示されました。

 村上善次郎先生(東京)は生後2か月からのアトピー性皮膚炎がYITにより著明に改善した8歳男児の例を報告されました。

 夏目明良先生(愛知県)はYITをサイバネティクス医学と捕らえ、犯罪などの行動障害にも効果を発揮する可能性を示唆されました。

 岩山繁木先生(北海道)は一般的治療を長期間続けていたが改善のなかった成人の気管支喘息患者にYITが有効であった5例を示されました。また、慢性蕁麻疹にYITが著効を示した5例を示し、この治療法として有望であることを述べられました。

 松葉光史先生(兵庫県)は更年期障害に対するYITの効果を分析し、のぼせ、ほてりなどの血管運動性神経症状に著効を示すばかりでなく、ホルモン補充療法では効果不十分な関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などにも有効であり、しかも副作用がないということを示されました。

 竹田武彦先生(兵庫県)は成人女性の糖尿病の糖代謝がYITで改善したと思われる例を報告されました。また、注射部位を変えることで効果に違いが見られることを示されました。

 私(伊利元 埼玉県)は、自分の食事を変えることで花粉症がよくなり、YITをしないで済むようなったことを報告しました。

 西田正文先生(福岡県)は新たな抗原エキスを従来のYITに加えることで、種々のアレルギー疾患、バージャー病、座骨神経痛にも著効を見たと述べられました。 また、特別な軟膏を用いてYITと組み合わせた治療で、アトピー性皮膚炎で次々と良好な治療成績を挙げていることを示されました。

 特別講演は、日本代替・相補・伝統医療連合会議理事の上野圭一先生から、欧米に比し日本での位置付けが定まっていない代替医療についての考え方の提示があり、従来の医学を否定するものでなく、よりエコロジカルな視点から、新たな社会を構成する要素として必要とされてくるだろうとのことでした。

 特別講演の2題目はストレスに関した研究についての発表です。H.Selyeがストレスを磨耗の速度と規定したのに対し、老化・疾病は適応能の低下を伴ない、それはDHEA-S由来の17KS-Sの測定により知ることができると世界に先駆け見い出された北海道大学名誉教授の西風脩先生の特別講演がありました。

 17KS-Sの長期にわたる研究から、ストレスに対する適応反応は心身相関に起因し、健康の維持はストレスにいかに適合し、マネージするかにあると述べられた。

 71歳男性の例をあげられ、配偶者の死亡前15〜5日間の17KS-Sの平均値が同年齢の健常者に比較して有意に低くなり、配偶者の死亡後5日間、17KS-Sは経日的に下降し、低値持続、回復に約50日を要したという例は印象的でした。

 最後に矢追博美先生(岩手)の特別講演があり、小児麻痺2例を挙げられ、1歳3か月で昨年10月1回目のYITを開始した幼児では、足が突っ張っているために手術しなければならずギプスや車椅子も必要になるといわれていたのが、注射の直後から筋肉が軟化し、昨年末にはつかまり立ち、本年4月(18回目)には自由にハイハイができるほどになったと発表されました。今後の成長が大いに期待されます。

 また矢追先生は、健康であることは、生命流(Bioflow:身体各部の体液の循環・神経伝達物質の流れ等の総称)がスムーズに流れている状態を言い、YITによりそれがもたらされると述べられ、同様の効果をもつホルモンにDHEA-Sがあることから、YITがこのホルモンの合成・貯蔵を促すのではないかと述べられた。

 以上の他に国内から数題、さらに台湾、グルジア共和国、エジプト、マケドニア共和国での良い成績が誌上発表されました。

 来年は、4月に神戸での開催が予定されています。外国からも参加が予定され、より活気のある会になると期待されます。皆様のご参加をお待ちしています。

第7回矢追インパクト療法学会トピックス(平成11年4月21日)

 上記学会が平成11年4月17日、18日広島市のアステールプラザで開催されました。各地から会員(今回初めての方も含む)が集い、熱心に討議が進められ、あっと言う間の2日間でした。

 東京都、兵庫県、福岡県、京都府、広島県など各地の施設の、種々の疾患に対する非常に良好な治療成績が示され、また、より治療効果を上げるための様々な試みが発表されました。

 中でも特に印象に残ったのは、被爆地広島にちなんで、武市泰雄先生・土本泰三先生の発表でした。『いわゆる「原爆ブラブラ病」に対するYITの効果』と題するものです。

 広島では、近距離の被爆者で、慢性の疲労感を訴え、勤労意欲も低下し、何もしないでブラブラする人について「原爆ブラブラ病」と俗称されるようになりました。

 加齢による変化の他は、特に身体的に異常所見がなく、男性より女性に多く、めまい、ふらつき、全身倦怠感、食欲不振、無気力が持続し、風邪を引きやすいという症状があり、梅雨の時期から秋の初めまでの数カ月間に繰り返すことが多いようです。

 今回示されたのはTCさんで、爆心地から3Kmの地点で被爆した、明治39年生れの女性の例です。

 被爆後数カ月にわたって下痢、食欲不振、全身倦怠感、めまい、耳鳴り、動悸などの諸症状が続きました。その後2年間は小康状態でしたが、昭和23年夏より、梅雨時期から夏の終わりにかけて、全身倦怠感、無気力、体重減少、めまい、ふらつき等の症状が再発してきました。あちこちの医療機関で診てもらっても「どこも悪いところはない」と言われ、ビタミン剤の点滴を受けていたそうです。

 平成8年6月TCさんは、上記症状を訴え、広島市の土本内科医院を訪れました。身体的に特に異常所見なく、軽い貧血と血小板減少が認められるだけでした。そのときからYITの治療を開始し、1週間後に2回目の治療を受け、その3日目頃より疲労感が軽くなり、食欲も回復し、無気力、めまい、ふらつきなどの諸症状が軽減してきました。その後は2〜3週間に1回、開始半年後からは1ヵ月に1回のYITを続け、自覚症状が非常に良くなっています。

 TCさんの感想「ピカ(原爆)におうて以来、90歳になって初めて昔の健康を取り戻したような気がする。」現在93歳で最近は横臥していることが多いのですが、「おかげで、93になっても元気なもんじゃ。先生には、本当に感謝しとります。」と喜んでいらっしゃいます。

 この方の他にもYITによって元気になった「原爆ブラブラ病」の患者さんが大勢いらっしゃいます。

 次に矢追博美先生の報告された例を紹介します。

 平成2年からの緑内障があり、平成10年頃よりうつ症状がひどく、自分の食事の支度もできずに、ほとんど寝たきりだった48歳主婦の例にYITが著効したことを示されました。

 本年2月15日初診、3月27日まで計5回の注射を受けた方で、2回目の注射を受けてからはすっかり元気になって家事も早起きして難無くこなし、緑内障も薬が不要となり自転車を乗り回すくらいの回復ぶりで、「ほんとに生きていてよかった。毎日が楽しくて嬉しくて」と感謝されているそうです。

 また、矢追先生は、中学1年生の頃から続く頑固な片頭痛があり、耳鼻科・脳神経外科の検査で異常なく、心療内科やカイロプラクティクなどの様々な治療も効果が見られなかった17歳の高校生(千葉県在住)にYITが著効したことを示されました。

 本年2月2日に治療を開始し、2月9日に2回目の治療を受けてから寝込む程の頭痛がなくなり、学校へも通えるようになったとのことです。北海道への修学旅行にも行ける程に回復したのですが、その際に高熱で緊急入院することになってしまいましたが、退院し自宅療養ののちYITを再開し4月6日に10回目の注射をしてからは毎日学校へ通えるようになっているそうです。

 今回のテーマは「生命力と矢追インパクト療法」ということで、興味ある講演を聴くことができました。

 昭和60年につくば市で開催された科学万博で、日本政府のテーマ館に展示され話題になったトマトの巨木(半年間に1株から1万3千個のトマトが連続して収穫された)があります。

 これはハイポニカ栽培法によってもたらされたものですが、この栽培法の生みの親の野澤重雄先生に「生命と心とハイポニカ現象」という特別講演をしていただきました。

 現代科学は「死んでいる自然」を対象に唯物論を元に構築されたもので、生命と「生きている自然」に関しては無知であり、従来の自然観が導く将来は暗いものでしかなく、「生命力の実在」を示すハイポニカ生命こそすべての生命現象に共通であり、明るい未来はここから展開されるとのお考えです。

 野澤先生は慎重に言葉を選んで講演をされ、この考えを人間にもあてはめれば、病気も老化現象もなくなるだろうと述べられました。

 野澤先生はご高齢にもかかわらずしっかりしたお話で、そのハイポニカ、生命の研究にかける情熱は並々ならぬものがあるとお見受けしました。

 野澤先生に先立ち、「YITにおける"Environmental Medicine"や"Progressive Medicine"とハイポニカ生命現象----YITによる”本能”との対話」という矢追先生の講演があり、YITの発見、開発のいきさつと、これまでに得られた様々な知見を述べられました。
 また、生体は周囲の環境とのバランスの中で自らを一定のレベルに保とうとする力(慣性)の中で生きており、YITは生体側の”慣性”を破り新たな周囲環境との間で新しい安定を見い出すことになり、これが進化の一過程と考えられると述べられました。

 以上の講演の他に、台湾の張百欽先生、グルジア共和国のIrina Miminoshvili先生、マケドニア共和国のVladimir Ilievski, Lilyana Llievska先生からの、各国でのYITの良好な効果を示す特別寄稿が紹介されました。

 今回も非常に熱心な討論がなされ、会員の皆様のYITに傾ける情熱に圧倒された2日間でした。 

 科学の常識を破るハイポニカ農法と、医学の常識を覆す矢追インパクト療法は通じるものがあります。
 植物でも人間でも、生命はもともと素晴しい大きな力をもっているのだということが、今回十分に確認できました。
 皆さん、大いに自信を持ちましょう!

  参考文献:「地球交響曲(ガイア・シンフォニー)」野澤重雄・原口庄輔著 善文社 ¥1,165

第6回矢追インパクト療法学会報告 

平成10年4月19日、埼玉県坂戸市の坂戸グランドホテルで第6回矢追インパクト療法学会(A.YIT)が開催されました。テーマは「なぜ効く、矢追インパクト療法(YIT)」で、全国から40名ほどの矢追インパクト療法学会会員が集まり、時間を惜しまず熱心な討論がなされました。ここで演題を発表順に、簡単に御紹介いたします。

 夏目明良先生(愛知県)は、YITの効果判定法、薬剤の併用法などを通じて、現行医学の中でのYITについて、述べられました。また、21世紀医療におけるYITの位置付けについても考察をなされました。

 山脇昂先生(東京都)は、アレルギー性疾患に対するのみならず、寝たきりの患者さん達が、YITによって見る見る元気になってゆく様子などを、たくさんのスライドを用いて示され、また糖尿病などに対しても、YITが根本的治療となりうることを示されました。その理由として先生は、YITが人為的に炎症を惹起させる焼灼療法であり、運動と同じ効果を末梢組織で現わすのだろう、と示唆されました。その他にも、YITの効果についての先生独自のお考えを示され、大いに参考になりました。

 伊利元(私、埼玉県)は、5年間のYITの経験を示し、「やはりYITは素晴らしい」と結論づけた発表をいたしました。

 土本泰三先生(広島県)は、比較的短期間に、単一のメニューによるYITを多人数に施行され、アレルギー・非アレルギーにかかわらず、多種類の疾患に対して、優れた効果と即効性や安全性を確認され、またYITのプラセボー効果の否定もなさいました。

 武市泰雄先生(広島県)も、多人数、多疾患例にYITを試み、化学物質過敏症、シックハウス症候群や慢性疲労症候群に対するYITの著効例を示され、今後のYITの普及と、さらなる検討を望んでおられました。また、土本先生と武市先生は、お二人で独自に、広島市内で毎月YITの研究会を開いておられるそうです。

 竹田武彦先生(兵庫県)は、3年半におよぶYITの治療成績が大変良好であったことを示され、特に、月経痛に対するYITの優れた効果についてと、掌蹠膿疱症に有効だった例について報告されました。

 松葉光史先生(兵庫県)は、アトピー性皮膚炎に対するYIT の効果と、その匙加減について、自らの経験を詳しく分析され、皆に注目されました。

 西田正文先生(福岡県)は、慢性関節リウマチの症状と検査値(CRPとRAPA)について、YITが著しい改善を示した例と、長期にわたる群発性頭痛に対して、特にYITが有効だった例、4歳で発症した7歳児の花粉症が、YIT1回でほぼ寛解したという、きわめて興味深い症例を報告されました。

 矢追博美先生(岩手県)は、慢性疲労症候群に対するYITの著効例を報告され、今後YITが同疾患の第一治療となるだろうと述べられました。

 阿部洋先生(宮城県)は、特に幼小児期における、YIT注射時の疼痛軽減の試みを発表されました。

 千葉友幸先生(東京都)は、7例以上の尋常性白斑に対するYITについて、抗原物質の選択や匙加減などで良好な成績を収めており、今後の本疾患に対する、YITの重要な役割が示唆されました。

 また特別講演として、以下の2題があり、多くの会員の関心を引き、また大変勉強になりました。

 山梨県の峡西中央クリニックの渡邊裕先生が、種々の病気に有効な、「ツボ注射」の貴重な経験を発表されました。この治療はYITと違い、注射の内容はあまり重要でなく、注射する場所(ツボ)の選択で、求める効果を発揮するとのことでした。

 最後に、浜松医科大学心療内科の永田勝太郎先生が、全人的医療について詳細に論じて下さいました。

 それは、身体面だけでなく、心理・社会面、さらに患者自身の「自らの人生に対する理解の仕方」などを総て考慮した上で、自己の「自然治癒力」を高めるようにすることであり、現代医学をベースにしながら、「その足りない部分に伝統的東洋医学と心身医学を適用することが必要である」と説明されました。

 そしてこれらの判定に、血中DHEA-Sの代謝産物である、尿中の17-KS-S(17-ketosteroid-sulfate)を測定する方法を示され、癌末期の人でも、全人的治療により症状が軽快すると、17-KS-Sが上昇することを示されました。そして、「自然良能」という生体の機能は、この「17-KS-Sを高めること」であり、それは食事・運動・睡眠に加えて、「身体的心理的補法」によりなされるとのことでした。

 この他、やはりA.YIT の会員であられる、北海道の岩山繁木先生、台湾の張百欽先生、グルジア共和国のイリナ・ミミノ シュビリ先生、マケドニア共和国のブラディミール・イリエフスキー先生からの、YITの著効例について寄稿がありました。

(以上は「アレルギーの臨床」1998年6月号(No.233,18巻)にも掲載された私からの報告です。若干の変更を加えました。)