ナチュラル・ハイジーン

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Natural Hygieneとは

1830年代にアメリカで始まった健康と栄養に関する運動で、菜食、驚異の自己治癒力、健康回復における絶食の役割、不要な薬と手術を避けることを主唱してきました。正統医学を拒否し、病気なしに生きる方法を人々に教えることに尽くした医師達の努力で途切れることなく、続いてきています。その主張は今日でも新しく革命的なものです。

ナチュラル・ハイジーンのパイオニア達

Isaac Jennings,M.D.(1788-1874);William Alcott,M.D.(1798-4859);James Caleb Jackson,M.D.(1811-1895);Russell Thacker Trall,M.D.(1812-1877);Thomas Low Nichols,M.D.(1815-1901);George H.Taylor,M.D.(1821-1896);Harriet Austin,M.D.(1826-1891);Susanna Way Dodds,M.D.(1830-1911);Emmett Densmore,M.D.(1837-1911);Robert Walter,M.D.(1841-1921);Felix Oswald,M.D.(1845-1906);John Tilden,M.D.(1851-1940);George S. Weger,M.D.(1874-1935);Herbert M.Shelton,M.D.(1895-1985)

アメリカにおけるナチュラル・ハイジーンの歴史は「アメリカ生理学会」が設立された1830年代に始まる。

1850年頃4人の医学博士、シルベスター・グラハム、ウィリアム・オールコット、メリー・ゴーヴ、アイザック・ジェニングスが最初のナチュラル・ハイジーン活動を始め、続いて多くの医師が参加した。

ラッセル・トゥロール博士は1852年ハイジーン原理に基づいた学校をニューヨーク市に建設した。女性も男性同様の扱いで入学できた。1862年「全国ハイジーン協会」を設立した。1872年「Hygiene System」を出版し大歓迎を受けた。

メリー・ウォーカー博士(1832-1919)は上記の学校を卒業した最初の女性で、女性運動の闘士であり、南北戦争に従軍し、初めてかつ唯一の名誉勲章受賞者である。

メリー・ゴーヴ(1810-1884)と夫のトーマス・ニコルス博士は1851年ニューヨーク市にアメリカ水治療法研究所を設立した。
ドッヅ博士は1887年内科医と外科医のためのハイジーン大学をセントルイスに設立した。

ドッヅ博士、ゴーヴ博士、ハリオット・オースチン博士は女性と子供の性教育、人権、女性の権利、そして女性の服装の改良の最前線に立っていた。当時の女性の服装はとてもひどいものだった。固い鯨の骨でできたコルセットと長いドレスが呼吸を妨げ、活動を制限した。

南北戦争のずっと前からオースチンとドッヅは、健康と男女平等を示すためスラックスを唱道し、それを穿いていた。(ゴーヴはブルーマーを穿いていた)ゴーヴは奴隷制度に反対し、当時女性の基本的権利を認めない婚姻の法律に反対していた。

1990年代中頃、ハーバート・シェルトン博士はハイジーンの医師達がの文献を検討し、当時の科学的知識に合致するように修正をするという記念碑的な仕事をした。
病気の時代

ここでアメリカでの昔の医療の状況を見てみましょう。

1800年代の初めにもしあなたが病気になったら、次のような野蛮なケアを受けていたでしょう。瀉血(血を抜きとる)、ヒルを直接皮膚に付ける、火ぶくれを起こさせる、焼く、灸をすえる(痛みをとる)、下痢や嘔吐を起こす、毒性が強いため長い間使われていない薬を服用する、といった治療法です。

水は通常控えさせられ、脱水で死亡する危険が高まりました。入浴は稀で、建物の窓と扉は日の光と夜の空気に対して厳しく閉ざされていました。衛生が欠如しており、タバコは広く吸われ、アルコールが好まれていました。

(リンカーン大統領も銃で撃たれて出血しているのに、主治医が瀉血を行ったために死を早めたと言われています。)

健康への新しいアプローチ

対照的に、当時のナチュラル・ハイジーンは、新鮮な空気、日の光、入浴、清潔、十分の休養と睡眠、そして自然な食物を全体としてとること(病気の時を除く)を勧めました。病気の時には、節制するようにしばしば推奨されました。

ハイジーンの医師は、何らかの理由で処方された薬をのまなかった患者が、きちんと服用した患者よりも早く十分によく回復するのを見ました。このことが彼らにからだの自己治癒機構の解明とそれを支える健康とライフスタイルの要素の探究へと導きました。

彼らはすぐに、健康は健康な生活の結果であることを見い出しました。異常な環境を除けば、健康を維持し、病気を防ぐには、からだの健康に不可欠な要素を供給しなければならないのです。

ナチュラル・ハイジーンが及ぼした深い影響

19世紀の末までに、ハイジーンの原則がアメリカ人の生活と、ある程度医療行為にもに入っていきました。この健康革命は運動すること、適度に日の光を浴びること、家と仕事場の換気、よりよい服装、より豊富な果物と野菜、衛生の改善をもたらしました。

 入浴と衛生の改善で当時のありふれた多くの病気の減少しました。その結果「Hygiene」という言葉(”健康の科学”という意味)は転訛し、何らかの”清潔”を意味する大衆的な言葉となりました。

1990年代中頃、ハーバート・シェルトン博士はハイジーンの医師達がの文献を検討し、当時の科学的知識に合致するように修正をするという記念碑的な仕事をしました。

学問は続く

健康の科学なので、ナチュラル・ハイジーンは科学と科学的思考によりより推進される。人類の生理的、精神的要求の知識が変化・成長するにつれ、ナチュラル・ハイジーンも変化・成長します。

ナチュラル・ハイジーンの”時を超えた”特徴は次の基本的原理です。即ち、”健康は健康的生活の結果である”と”治癒は生物学的プロセスである”が最重要です。

これらの原理は今日の読者には明白ではあっても、かつては過激で革命的とみなされていました。

以下の言葉で、ナチュラル・ハイジーニストがいかに長い間”ヘルスケアはセルフケアである”という命を救うメッセージを高く掲げてきたかが分かるでしょう。

”人間は自らの法則に従っていれば、病気と早過ぎる死の恐れから免れ、高度の身体的強健さと美しさを得るように、作られており、外の世界と関わることができる。””しかし罰のない法律はない。そして痛み、病気、悲しみ、変形、老衰と早すぎる死は、生理的法則を破った直接かつ当然の結果である。”James C. Jackson,M.D.(1811-1895)

”我々が保証し実践しているシステムは自然に全く調和し、生物の法則に従い、科学的に正しく、哲学的に健全で、常識に一致し、結果として成功し、人類に祝福をもたらすものだ。”Russell Thacker Trall,M.D.(1812-1877)

”人類の自然な状態は健康な状態であること、そして事故による以外の病気と苦痛はすべて自分か他の者による何らかの悪い行いにより引き起こされることを学ぶ必要がある。” Harriet Austin,M.D.(1826-1891)

”自然の教えに従って生きることで、人生は喜びに満たされる。反対の道を追求すると人生を短くするばかりか惨めで価値のないものになる。”Susannna Way Dodds,M.D.(1830-1915)

”健康は心身が自然の法則に適合し、一つとなっていることを示している。病気はこの理想の状態からの何らかの分離があることを示している。”John H.Tilden,M.D.(1851-1940)

”運動だけ、または食事だけ、また休息と睡眠だけでは丈夫になれない。新鮮な空気と日光だけでも十分ではない。正しい呼吸だけで高みに至ることができると思ってはいけない。これらは全て良いのだが、人生は運動だけでも食物だけでも、飲み物だけでもない。また思想や休息睡眠だけでもない。人生はそれら総てとそれ以上のものである。人生は全体として生きられるべきものである。”Herbert M.Shelton,N.D.(1895-1985)

21世紀のナチュラル・ハイジーン

1985年にハーヴイとマリリン・ダイアモンドの”Fit for Life”が出版されダイエットと健康の歴史的ベストセラーとなった。これは1100万の人々にアメリカン・ナチュラル・ハイジーンを紹介し、ナチュラル・ハイジーンの新しい時代をの到来を告げました。

(この”Fit for Life”を翻訳し日本に広く紹介されたのが、松田麻美子先生です。)

1948年に設立されたアメリカン・ナチュラル・ハイジーン協会は、時代を超えた原理とナチュラル・ハイジーンの最も正確で最新の知識を次の世紀に運ぶ最前線にいる。

雑誌Health Science magazine とInternational Natural Living Conferenceと地域のセミナーを通じ、協会はInternational Association of Hygienic Physiciansの会員による論文と講演を提供しています。これにより新しい情報と見通しがハイジーンの生活とヘルスケアの分野にもたらし続けられています。

協会は、1830年代の先覚者がしたように、我が国(アメリカ)の健康状態を改善する思想と実践をさらに進めることに専心している。何百万の人々が不要な苦痛を受けている時、ナチュラル・ハイジーンの声は強く続き、たくさんの求められる希望を世界に提供している。

ナチュラル・ハイジーンの利点

ナチュラル・ハイジーンという由緒ある健康と幸福のシステムがこれほど関心を集めたことは、歴史上かつてありません。多くの人々が、健康を最大限に発揮させる可能性に魅力を感じています。痛みと苦しみ、あまりにありふれた病気から免れて、活気に満ち、エネルギーにあふれた生活ができることを望んでいます。

ナチュラル・ハイジーンは環境や他の人々とどう関わったら良いかを私たちに教えてくれます。この原理は私たちに大きな強さを与え、多くの可能性の中から最適の人生を確実にすることができるようにしてくれます。

1世紀以上にわたってナチュラル・ハイジーニストは健康の全域を扱ってきました。彼らは個人の健康、環境、地域の健康を全体の一部と理解していたごく少数の人々です。

あなたの人生を管理する

ナチュラル・ハイジーンの良い点は、大きな健康と幸福を得るために、ライフスタイルをどのようにコントロールしたら良いかを教えてくれることにあります。ナチュラル・ハイジーンについて学ぶことは、「私はそれに耐えて生きることを学ぶべきだ」とか「私の年で何を期待できるか」という自己限定の考え方から、希望と楽観主義へと転回するための強力な方法です。ナチュラル・ハイジーンは、とても予想もできなかった健康、回復そして幸福を得るために必要な力をあなたに与えてくれます。これらの変化に必要な努力は十分報われます!

われわれの多くは、成長にともない時代遅れで非科学的な健康と病気にたいする見方を教えられる。ナチュラル・ハイジーンは、身体がどのように働いているかを教えることで、全く新しい見地を提供します。一度あなたがそれを知れば、恐怖と病気ではなく、健康と自由の生活に入ることができるのです。

ナチュラル・ハイジーンの利益を得るには、あなたの恐怖、悪い食事とライフスタイルの選択、そして結局あなたの病気と早すぎる死から利益を得ている人々から学んだ、健康と病気に関する自己限定的な考えの全てを捨て去る必要があるでしょう。

ナチュラル・ハイジーンは科学に基づく一つの哲学と定義できます。そして健康を最大限に発揮するために、私たちはどういう行動をとるべきかの決定の助けとなる原則の体系であると定義できます。これらの原則は、事実と幻想を区別するための科学的方法を用いた研究と観察により、発展し洗練されてきました。病気の診断と治療に注目する医学や他の健康哲学と異なり、ナチュラル・ハイジーンは、健康の土台となる原則を重視しています。

ナチュラル・ハイジーンの基本原則

他の健康法と異なる点を以下に示します。

1.健康な状態が正常です。

多くの場合、自然に調和して生きている人ほど健康になることは簡単です。あなたの身体は自然発生し、自己調節し、自己修復している。あなたはお母さんの子宮の中で2つの細胞の小さな結合として人生を始め、こどもに成長し、そして後に大人になりました。その間、夜も昼も、冬も夏も、病気の時も健康な時も殆ど助けを借りずに、ずっとあなたの身体は仕事を続けてきました。あなたの身体の成長、修復、そして維持する能力は驚くべき知性の現れです。あなたの身体が出すサインを読み、その警告に留意するようにしなさい。

2.健康と病気は一つの連続体です。

病気のときも健康なときも同じ生理的法則が生活を支配しています。病気の人が健康を回復するには、健康な人が健康を維持するのに用いているのと同じ習慣   を、必要であれば修正を加えて用いるようにすることです。

3.健康は健康な生活の結果です。

ヘルスケアはほとんどの部分がセルフケアです。健康になるためには、毎日健康に生きる必要があります。

すなわち自尊心と人生に対する前向きな態度を発展させ、新鮮で自然な食事の全体、定期的な運動、休息と睡眠を十分に取ること、新鮮な空気と日光をたっぷり浴びること、ストレスの扱い方を学ぶこと、生活に悪影響を及ぼす総てを避けることです。

人々は基本的な栄養の不足か栄養の過剰により病気になります。工業国家では多くの病気が栄養、特に脂肪と蛋白質の過剰から引き起こされます。

死亡と衰弱をもたらすありふれた原因には冠状動脈疾患、脳卒中、糖尿病、肺気腫、肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がん、腎臓病、骨粗鬆症、自己免疫疾患が含まれ、これらは一般にカロリーの過剰摂取と特に動物性脂肪と蛋白質の消費と関連しています。

過剰栄養によるこれらの状態は通常の医学治療には、良い反応を示しません。これらは根本的に食事を変えることが必要です。

肉、魚、鳥肉、乳製品、油と過剰な塩と砂糖の使用を止めて、新鮮な果物と野菜、穀物の全粒と豆類を食べることです。特に睡眠と運動、繊維を十分とることで不足を補うこともまた非常に重要です。

4.治癒は生物学的プロセスです。

異常な状態を除けば、治癒は身体が自らのために行う活動の結果です。時には内科的または外科的治療が必要な時があります。しかし、回復は全く生物学的プロセスによります。 

5.病気の原因を除去しなければならない。

ナチュラル・ハイジーンは、発熱、炎症、下痢、嘔吐と粘液という病気の症状と、症状の原因に大きな違いのあることを認識しています。

症状の原因となるものには、わがまま放題の食事、あるいは誤った食事選択、働き過ぎ、激しい疲労とストレスをコントロールできないことなどが含まれています。

身体は自己治癒します。急性疾患の際の症状は十分な治癒が生じるために必要なプロセスです。これらの症状を抑制することは、報われないだけでなく悪い結果をもたらします。

健康は症状がないこと以上のものです。事実、健康は症状がないことだと信じることは危険です。

基礎になる原因を除去することなしに症状を抑制すると、恐ろしい危険を冒すことになります。当面の問題は解決されるものの、破壊的な行動とそのもたらす結果の間の関連を考慮しなかったことによる犠牲は法外なものになります。

人間の身体は崩壊に至るまでに極めて多量の悪習を埋め合わすことができるので、この関連はなかなか認めることが困難です。

健康を回復するには、病気の原因を除去しなければなりません。それらの原因に対応する時間を身体に与え、症状を抑制するというよくある間違いを避けなければなりません。

6.一つのユニットとしての身体の機能。

ほとんどの場合、部分的な健康や部分的な(”ただ一つの”という意味)病気はありえません。

身体は一つの統一体です。すべての部分がそれぞれ機能を持っています。一つの部分が悪くなり始めると、それはその人の総てに影響します。

7.感情的要因が健康に影響する。

悩み、恐れ、疑い、嫉妬、嫌悪と他の破壊的感情により、計り知れないダメージがもたらされます。

America Natural hygiene Society(ANHS)は長きにわたって多くの重要な主張を続けてきました。

ほぼ50年にわたり菜食主義を主唱してきました。

ヘルスケアの選択における個人の自由の主張。
健康に関しての自由。ある治療を受け入れるか拒否するかの自由。政府が後援する宗教からの自由を楽しむことができるように、政府が後援する健康計画からも自由でいることを楽しむという、不可侵の権利を個人がもっていることを主張しています。

自然食品運動を支援しています。

環境保護を支援しています。

放射線の害について警告しています。

ANHSはこれらの活動により、環境を守り、天然資源を保護し、全ての将来の世代を含むあらゆる所の人々の健康と生活の質を向上させる努力を常に支援しています。

ナチュラル・ハイジーンは科学に基づく哲学です。これは世界に対する誠実な見方です。由緒あり、長く続いているが、習慣や伝統に例外を認めません。これは、私たちに何にでもなれる機会を提供し、思考、言葉、行動の限定的習慣からの自由を提供します。

私たちは、有害で限定的な慣れた習慣に捕われたままでいるか、または個人の成長と自由を選ぶことができます。ナチュラル・ハイジーンは、賢明で成功するのに必要な道具と情報をわれわれに与えてくれます。

ナチュラル・ハイジーンについて考えるとき初めに心に浮かぶ言葉は”素晴らしい”です。なぜなら、ナチュラル・ハイジーンは、私たちがなることのできる全てのものになるための、非常に多くの機会を与えてくれます。それは、良い人生を求める人々のための哲学です。ただのかなり良い人生でなく、非常に良い人生を! 

以上は「The Natural Hygiene Handbook」(America Natural Hygiene Society,Inc.)

の中から若干編集したものです。ナチュラル・ハイジーンに基づく具体的な食事のしかたについては、「ライフスタイル革命」をお読みください。またNHA(National Health Association)のホームページもご参考にしてください。 

ナチュラル・ハイジーン関連図書

1.The Natural Hygiene Handbook by James M. Lennon (Editor)
Paperback (December 1996) Amer Natural Hygiene Society; ISBN:0914532405

2.「常識破りの超健康革命」松田麻美子著、グスコー出版

3.「子供たちは何を食べればいいのか」松田麻美子著、グスコー出版

4.「50代からの超健康革命」松田麻美子著、グスコー出版

5.「フルモニ!超健康ダイエット宣言」松田麻美子著、グスコー出版

6.「フィット・フォー・ライフ」ハーヴィ&マリリン・ダイアモンド著、松田麻美子訳、グスコー出版